第71回全国珠算研究集会開催
オンラインで研鑽が「つながる・広がる・共感しあう」
珠算教育者4名の発表
第71回全国珠算研究集会(主催・公益社団法人全国珠算教育連盟,後援・文部科学省)は3月29・30日の両日,オンライン形式で開催され,全国から393名が参加し,珠算教育者4名の発表に熱心に聞き入りました。
29日午前10時,開会式にあたって工藤理事長が主催者挨拶において「参加者の熱意によって対面式と同様,研修の機運が高まり,受講者のプラスとなることを期待し,オンライン形式の試みが成功裏に行われることを期待したい」と述べ,2日間の研鑽が実り多いものであることに思いを寄せました。
そののち,第1講座,続いて第2講座が行われました。
そして,第2講座終了後,山戸副理事長が閉会と2名の講師への謝辞を述べ,1日目の閉会を宣言した。また,2日目の開始時は岡久副理事長が初日の講座を振り返り,2日目の受講の大切さを述べました。
第4講座終了後閉会式では,前田研修学教委員長より4講座それぞれの講評と講師への謝意が述べられ,2日間の研修が終了しました。
各講座の主な内容はこちら
第1講座 学ぶ・そろばん ~日本そろばん資料館ホームページを起点として~
珠算教育研究所 研究員 島岡 成紀 氏
そろばん資料館ホームページは情報の宝庫・充実のホームページの“夢”先案内人・島岡先生
珠算教育研究所研究員である講師が,日本そろばん資料館10周年の令和5年に開設したホームページについて,指導者として気づく「まなび」,そろばん“愛”にあふれる,それぞれのコーナーについて解説しました。
「深堀り・そろばんの歴史」で歴史上の人物とそろばんとの関り合いについて興味深い話を披露し,また「Canva」という動画編集ソフトを使った動画作成エピソードにふれ,教室でも活用できることを紹介しました。
第2講座 楽しい嬉しい大好きそろばん ~一生懸命より一笑懸命~
沖縄県 宮城三四郎 氏
学習者の気持ちを上手にキャッチ「三四郎ワールド」
石垣島でそろばん指導を行う宮城氏。
プロフィール紹介ののち,教室の特徴,授業形態,1年を通じての教室イベントなどが紹介されました。
宮城氏のみならず,珠算教師に共通するワード「(とにかく)8の数字にこだわり」を持つ,などユーモアあふれる講座となりました。
また,「保護者とのちょっとした会話を大切にしている」として,「学習者の様子をちょっとでも保護者に伝える」という心がけは目からウロコ。
明日からでも教室で活用できる実例として注目されました。
第3講座 あんざん時々そろばん ~初歩指導から選手育成まで~
愛知県 青木 龍輔 氏
青木「龍(流)」暗算指導と選手養成のノウハウ
自身が営む4つ(1つはオンライン形式授業)の教室の紹介に始まり,暗算指導法について解説されました。
独自のプリント教材により学習者の習熟度を見極め,検定受験,全日本通信珠算競技大会や地区大会・県大会等への積極的な参加によって相乗効果を諮ることで,その先の全日本珠算選手権大会へつなげる,という指導サイクルをつくり,暗算の指導では頭乗法・両落とし・被乗数からかけるといった独自の指導形式を説明しました。
また教室の入退室は時間を定めずに,生徒の自由として,学習・練習の自主性を重んじた学習時間を設ける授業スタイルや「むりに暗算をさせない」「同じレベルの生徒同士で競争をうながす」などの指導に工夫を凝らしたが披露されました。
第4講座 そろばんが教えてくれた「生きるチカラ」
~失敗からの再起、そして未来ある子どもたちへ~
香川県 壷井 英貴 氏
「壷井先生は楽しく仕事をしている」卒業生のことばに支えられて天職を邁進
プロフィールでは,食肉販売業,飲食業,営業職という他業種を経験したのち,転機となった恩師の教室で久しぶりにそろばんにふれ,珠算教師業を志したというエピソードを紹介し,営業職の仕事の傍ら,娘さんといっしょに珠算学習に励み,結果,暗算十段・全日本珠算選手権大会出場,と地道な努力を重ねられました。開塾後,学習者と切磋琢磨しながら,有志による四国での大会を企画し,地域のレベルアップに腐心されています。
卒業生から贈られた「壷井先生は楽しく(そろばんの)仕事をしています。そのような人になり,職業を選びたいです」ということばに感銘し,そろばん教室はそろばんだけを教えているのではなく,人格形成,学習者の将来の指針を決める,という崇高さを持つ場であることを説明しました。
4名の発表者・研修の“夢”先案内人の熱意あふれる発表と受講者の研修にかけるDNAは着実に来年3月,京都で開かれる第72回全国珠算研究集会に継承されることでしょう。